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ハイカラさん |FIVEONE大阪本店

こんにちは

本日は4月1日。

新年度がスタートして、本日より社会人生活スタートという方も多いかと思います。
誠におめでとうございます。
ネクタイが苦しかったり、シャツの衿が硬かったり、そもそも動きづらかったり
慣れないうちはスーツスタイルはストレスが多いかもしれません。
しかし、現在のスーツ今のスーツのもとの形になってから更に100年以上、
大勢の職人達が「カッコいい」を追求し続けた一つの完成形のような装いです。
ある程度着こなしを覚えておいて損はありませんよ。

最近はYoutubeなんかの影響もあってか20代前半の方も多くファイブワンに
来て下さるようになりました。
社会人生活のスタートに、オーダースーツにチャレンジしてみたくなった
という方は是非お近くのファイブワンまで遊びにいらして下さいね。

さて、先程一つの完成形のような装いと書きましたが、
形が確定してあとはそれをなぞるだけでは
時代の変化と共にその形は必ず陳腐化していきます。
なぜなら私達は自分でもほとんど意識しないうちに様々なものの影響を受け、
感覚が変化し続けているからです。
時代の潮流とは、ファッション雑誌が仕掛けるような短期的な流行ではありません。
本日は、ファッション雑誌なんて読まなくても、
実は我々の感覚は少しずつ変化している…というお話のほんの一例をご紹介致します。

明治の初期、洋装が日本に少しずつ浸透しつつあった時代に、
「ハイカラ」という言葉が生まれました。
語源は男子洋装の流行であった「ハイカラー」にあり、
フロックコートに合わせる立ち襟(ウイングカラー)のことを指す
という資料もありますが、単にワイシャツ全般を指していたこともあったようです。

ハイカラは今では「オシャレ」とか「近代的」のような
肯定的な感覚で使う言葉に聞こえますが、
当時は西洋かぶれ、キザというような良くないイメージの言葉として使われ、
皮肉をこめて「灰殻」なんて表記されました。
庶民たちは貧しくて服にお金なんかかけられないのに
鹿鳴館で着飾ってパーティーをするようなお金持ちに対する嫉妬に加えて、
論理性や知性が打算とひとまとめにされ、ハイカラは
人間的でないという価値観があったようです。

この「ハイカラ」のカウンターカルチャーが「バンカラ(蛮カラ)」です。
「見た目なんて表面的なことにお金をかけない」
「身だしなみなんかに時間をかけるのは中身がないやつだ」という考え方で、
あれこれ物事を考えるよりも感情のままに動く方が人間的だという
価値観でありました。
昭和世代のケンカ漫画の番長たちも「バンカラ」とよく言っていたものですから
比較的新しい言葉だと思っていた方も多いかと思いませんが、
実は1900年代初めからある言葉なのです。
(そのせいで「番カラ」だと思っている人も多いですが
野蛮の蛮にハイカラのカラをもってきて蛮カラと書きます。)
当時はバンカラの方が庶民の感覚に近く、
例えば当時の大ヒット作、夏目漱石の「坊ちゃん」も簡単にまとめると
ハイカラな赤シャツをバンカラな坊ちゃんが叩きのめす話となっています。

今となってはバンカラを自認する人もすっかり少なくなって、
日本はかなりハイカラに寄りました。
つまり明治初期と比べて我々は理性的で、調和を好み、
清潔で野蛮なものを嫌うようなったと言えます。
ここで重要なことは、ただ清潔になった、理性的になったということが
個別で発生したのでないということです。
清潔さや理性的であることを良い事と考え、外見的な美しさが高いことと質や
内面の良さがある程度リンクしていると考える「ハイカラ」の考えが強くなり、
外見的に美しくすることを質や内面の悪さをごまかす手段と捉え、
内面の良さを示す為に会えて外見を整えないというような価値感が廃れて
「バンカラ」でなくなったのです。

さらにこれらの変化は突然切り変わったわけではなく、
グラデーションで少しずつ感覚が変わっており、今を生きる我々の中でも、
60代と40代と20代では意識が違います。
ここでいう意識とは心の中の「バンカラ」と「ハイカラ」の成分の比率です。

例えをいくつか出しましょう。
昭和58年の花王のシャンプーのCMで、中森明菜が
「信じられる?ティーンの二人に一人は毎日シャンプーしてるって。」と
視聴者に問いかけるセリフがあります。
40年ほど前には女性でも毎日頭を洗わないのは
普通の感覚であったということでしょう。
今の10代からは信じられないかもしれません。

また、昭和の終わりに生まれた私が子供の時に見ていた
朝の再放送アニメなんかを思い出してみても、
大体の主人公は身だしなみなんか気にしなくて元気いっぱいで、
小奇麗にしているような奴はキザで嫌な奴という構図があったように思います。
映画もアニメも基本的に美形のキャラクターが主軸になっている
昨今とは大きくつくりが違います。

様々なハラスメント問題も、「これくらいいいじゃないか」という
バンカラ成分強めの方の価値観とバンカラ成分があまりない方との
価値観の差が一因でしょう。

こういった意識の差は、その人が日々見聞きする事象の繰り返しで生まれます。
付き合う世代が固定して感性をブラッシュアップしないとどんどん
旧世代の価値観となってしまいます。
そしてラインを超えると別の世代からは行動が理解できなくなります。
先程例に出した「坊ちゃん」を読んだことがある方の中でも、
坊ちゃんが全然根本的な問題を解決できていなくて
モヤモヤしたという人が多いのではないでしょうか。

コロナ禍を経験し、どの世代も基本的に
「ハイカラ」成分がより強くなったのは間違いありません。
そうなると「ハイカラ」的感覚なものが、より
「バンカラ」的感覚の物を淘汰していきます。
そして今後はよほど大きな力がない限り「中身で勝負」だけでは
通用しなくなっていくのではないでしょうか。
中身がある人ほど、それを体現した装いになっているはずだ…。
そんな価値観が強くなってくるとき、
きっとオーダースーツが貴方の力になってくれるはずです。

ややこしいお話をしましたが、結局今日のお話は
「これから世界はきっとよりハイカラになっていく」、
「ハイカラな服装をしましょう」、この2つです。

変化の多い毎日の中で、王道をおさえながら流行も意識できるクラシックなスーツで
自己プロデュースを見つめなおしてみようと思われた方は、
是非お近くのファイブワンまで。

皆様のご来店心よりお待ちしております。

ファイブワン大阪本店 中村

【各種お問合せは下記まで】
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