カシミアのお話
こんにちは
今週から10月がスタート致しました。
ファイブワンでは10月からコートフェアということで、
一ヶ月間素敵なコート生地がお得にお求め頂けます。
そんなわけで本日は、コートの素材としてよく聞かれる「カシミア」について、
ちょっと掘り下げてご説明させて頂きます。
ちなみに文中では「カシミア」と表現しますし、
自分は発音の上でも「カシミア」と呼んでいますが、
消費者庁家庭用品品質表示法の表記は「カシミヤ」です。
文化庁の『内閣告示第2号』によると、
「母音がイ・エの次のアの音に当たるものは、原則として「ア」と書く」
とあるのでピアノ、グラビア、イタリア、ヘアピン、メソポタミアと言った単語と同じで
「カシミア」が正しい気がしますが、戦前から使われている言葉が慣習として
残っている場合は例外もあるらしいのです。
「diamond」もダイアモンドでなく「ダイヤモンド」の方が一般的かと思いますので、
「カシミヤ」もこの例外の単語なのかもしれません。
どっちの発音も間違いではないのでご了承下さい。
さてさて、話がだいぶそれてしまいましたが、カシミアとは
インドの北部高山地帯のカシミール(Kashmir)地方の古い綴りに由来し、
その地域に生息するカシミールヤギの毛です。
毛質は細く、柔軟で独特のぬめりがあります。
カシミールヤギの主な生息地は中国、外蒙古、イラン、インド、アフガニスタンなどの
夏と冬の気温差が激しい山岳荒地です。
冬の厳しい寒さから身を守るため、秋期には刺毛の下に産毛が生えてきますが、
夏に向かう気温の上昇とともに春期には産毛は抜け落ちます。
私達でいうところの衣替えを自然に行うわけです。
この刺毛は私たちの知るカシミアの毛とは思えないほど太くて固いので、
刺毛が混じらない様に櫛を用いて、丁寧に産毛だけを梳きとっていきます。
梳きとりの時期は産毛が抜け落ち始める直前の5月頃、一年に一度しかありません。
羊の毛のようにバリカンで刈ればいいわけではないので
1頭あたりの産毛量は非常に少なく、多くても150gほどと言われています。
マフラー1枚でカシミールヤギ1頭、コートだと7~8頭分必要で、
その希少性から「繊維の宝石」などと呼ばれたりします。
さらにここから色味で4種類、繊維の太さと長さ、
ヘアー混率(粗毛が混じってしまう割合)で9等級にわけられます。
ホワイトの方が価格は高いですが、1級品となるような極細繊維は
ブラウンカシミヤがほとんどらしく、質としては中国の内蒙古産の
ブラウンカシミヤが最高級品と言われます。
ウールのようにスーパー表記にすると、平均繊度がスーパー160’sくらいとなり
さすが高級素材という感じですが、1級品でスーパー190’sほど、
8.9級品だとスーパー120’s~130’sほどとなりますので、
同じピュアカシミアでもかなり風合いに差が出て参ります。
さらにそこから生地になるまでの処理でも仕上がりに差が出ます。
低級カシミヤ原料+低技術→当然物は悪い
低級カシミヤ原料+高技術→良いものは出来ない。低価格量産品向け。
高級カシミヤ原料+低技術→工程中に原料を痛め、安定した良いものはできない…
というわけで、
高級カシミヤ原料+高技術でのみ、本当に風合のよいカシミヤ織物ができます。
カシミアが高級生地として有名になるきっかけをつくったのはナポレオンとされています。
皇帝ナポレオン1世が1798年のエジプト遠征のお土産に、
妻のジョセフィーヌにインド産(カシミール高原)のカシミア・ショールを
持ち帰ったのですが、ジョセフィーヌは絹よりもしなやかで、
素朴さと豪華さが同居しているようなこのショールを大変気に入りました。
フランスのファッションリーダーであったジョセフィーヌの影響で、
カシミア・ショールの流行は、瞬く間にヨーロッパの上流社会に広まったそうです。
そんな長きにわたって高級生地の代名詞となっているカシミアですが、
高級な物ができるとよりさらに上へ上へと追求してしまうのが人というものです。
より暖かい物を、より柔らかいものをと求めた先に生まれた、
当店でご用意ができる最高級カシミアの生地がこちらでございます。
ホーランド&シェリー社のカシミアで、
コート一着¥760,000~(+tax)でお仕立てが可能です。
私の写真の技術では、生地の艶やヌメりがほとんど表現できていませんが、
目付は560/580gmで最高級のカシミアをこれでもかと言うくらい使い
メルトン調に仕上げております。
超極細繊維である高級カシミアをこんな風に仕上げてしまうとは、
なんとも贅沢な生地です。
我が国ではコート用のカシミアのことを昭和の中期までは「ラクダ」と呼んでいたらしく、
当時のテーラー達が普通のキャメルヘアと勘違いしなかったのかは不思議ですが、
これほどしっかりしているカシミアは確かにキャメルヘアに近い質感かもしれません。
ここまではオーバースペックという方の為に、
もう少しリーズナブルな高級カシミアも沢山ご用意しておりますのでご安心ください。
今回のフェアのガッティのカシミアは目付が450gm有り保温性もしっかりしつつ、
カシミアらしい柔らかさも感じて頂きやすいのでおススメです。
PRICE
SOLID(無地) ¥176,000- → ¥146,000~ (税抜)
PLAID (柄) ¥196,000- → ¥166,000~ (税抜)
本日は色々とややこしいことを書きましたが、どんな生地でも見て、触れて、
感じてみるのが一番かと思います。
本格的に寒くなる前に、是非お近くのファイブワンでコートをご検討下さい。
ファイブワン大阪本店 中村
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