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麻の魅力をつらつらと|FIVEONE大阪本店

こんにちは

5月に入り、サマーファブリックフェアがスタート致しました。
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そして、やはり夏の素材としてイメージするのはリネン、つまりは麻の素材でしょう。

そんなわけで本日はこの麻という素材の魅力についてお話したいと思います。

現在我々が良く使う麻という言葉は亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、
黄麻(ジュート)、大麻(ヘンプ)、等から取れる似た雰囲気の繊維素材の総称で、
さらにいうと同じ亜麻でも品種や産地、育て方などで全く違った風合いの素材になったりします。
ウールでも羊の種類や産地で品質が変わるのと同じですね。
特に麻の中で一般的なリネンは亜麻の英語表記でフランス語でいう所のリンネルです。

このリネンは素材であると共に生活文化の象徴としても昔から浸透しておりました。
リネンという言葉が家庭用布地をまとめて使う言葉になっていたり、
布地を置く部屋を「リネン室」と呼んだりもします。
何ならコットンの布類も総称して「リネン類」と呼びますし、
時代によっては下着やシーツを含むニュアンスでも使われました。
リネンのラテン語(Linum)は近世以降にlining(裏地)、lingerie(下着)、line(綿)といった
単語に派生していきます。
リネンがヨーロッパ社会の語彙に影響を与えるほど重要で身近な素材であったということですね。

さらに亜麻は油を取る事ができ、この油も人類に多大な恩恵を与えてくれました。
ここまで人類に都合の良い自然物が存在しているというのは、
神々からの贈り物であったのではないかとすら思わせます。
特に油絵のキャンバスは麻布、絵の具は亜麻仁油を使うわけですから、
西洋の美術の進化にも麻が多大な貢献をしていることがわかります。

麻と人類の繋がりは本当に古く、36000年以上前の地層から麻を染色していた
痕跡がでてきているそうです。
トルコで発見された紀元前7000年頃の
「損傷の無い完全な形で考古学の記録に残っている最古の布」もリネン製、
ミイラを巻く布もリネン製です。
リネンがもつ素晴らしい強度を証明しています。

11世頃には欧州の庶民の布地としてもほぼ完全に広まっていたようで、
通気性がよく乾燥しやすいリネンの生地で寝ると
皮膚病も発生を予防できることが認知されていたそうです。

16世紀頃からはリネンの品質や清潔さが社会的なステータスとなり、
上流階級はこぞって純白のリネンを求めるようになりました。
1740年に出版されたマナーの手引書には
「着る服が清潔であれば、特にリネンが真っ白であれば上等な服を身に付ける必要はありません。
貧しくとも、最高に豊かな気持ちを味わうことができるでしょう。」
とまで書かれていたようです。
とはいえリネンはそもそもほんのりベージュがかっているもので、
文字が読めるのが中流階級以上であるとは言え「真っ白」を
庶民に求める辺りが上流階級の悪意のない嫌味を感じさせます…。

当時は石鹸は発明されていたもののまだまだ高級品で、
それでも白さに拘るためパリの上流会級の人達の間では
植民地のサン=ドマング(現在のハイチ)まで輸送し、
少量のインディゴとたっぷりの日光にさらして
うっすら青く清涼感のある純白リネンに漂白するサービスが流行してようです。

ここまで浸透していたリネンですが、1800年頃、産業革命で
機械生産が導入された辺りで潮目がかわってしまいました。
いち早く英国で発明されたコットンの機械織り機の登場で手織りのリネン製品は
突然高級品となり、「家庭内生産のリネンは白毛の仔馬並みに希少なもの」とまで
言われるようになりました。
1863年のとある歴史家は

着ている物のあちこちに亜麻の皮やら繊維やらのカスをつけたまま、
顔をほこりで汚して麻打ちをする人々はもういない。
麻打ちで出た麻くずで焚火をする少年たちの姿ももう見られない。
糸車の音、糸を紡ぐ女性の歌う声、糸の長さを測るロックリールのはじける音も皆やんだ

という記述を残しています。
その風景を見た事はありませんが、なんともノスタルジックかつ
心の柔らかい部分がキュッとしてしまう文章ですね。

近代的なリネンの大量生産機械は19世紀になってから動き出し、
20世紀にさらなる改良を加えて今日のリネン産業にが創生されていきました。
現代において、化学繊維が衣料の主流になっても
リネンの素朴で清潔なイメージは失われていません。

リネンのシャツをお召しになる際は、ちょっとだけこんな歴史に思いを馳せてみると、
さらに親しみがわいてくるかもしれません。

皆様のご来店を心よりお待ちしております。
ファイブワン大阪本店 中村

 

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