お勧め生地紹介 『イタリアンリネン』
こんにちは
本日は3月15日。
紀元前44年の今日はユリウス・カエサルがブルータスらに暗殺された日です。
カエサルというと、「賽は投げられた」「来た、見た、勝った」
「ブルータス、お前もか」等の有名な言葉でも知られ、
政治家としてだけでなく文筆家としても非凡な才能を発揮し、
Kaiser(皇帝)の語源にもなった古代ローマの傑物です。
薄毛の気にしていたと言われ、それを隠すためにしていた髪型はシーザーカットと呼ばれ、
今日に至るまで欧州の髪型の定番の一つとなっております。
そういった意味ではクラシックなファッションの一つを生み出した人物とも言えます。
彼の作り出した太陽暦も1600年以上使われていたわけですし、
本当に先々まで見通せる人だったのでしょう。
彼の人生は暗殺によって幕を閉じますが、
生前「思いがけない死、突然の死こそ望ましい」と言っていたそうなので、
全ては彼の思い通りだったのかもしれませんね。
と言うわけで本日は、古代ローマに少し思いを馳せつつ、
紀元前から愛されてきた素材である亜麻(リネン)の生地のご紹介を致します。
こちらはドラッパーズ、ローリーサジェスチョンの「イタリアンリネン」でございます。
まずリネンと言うと英国のスペンスブライソンが有名ですね。
スペンスブライソンの生地は、大変ハリがあり、着はじめは少し硬い感じがしますし、
実際硬いので皺の入り方も強く折れてしまったような感じになります。
そこから着ていくうちに徐々になじんでやわらかくなり、強い皺が入らなくなります。
この「育てていく感じ」こそスペンスブライソンの魅力かと思います。
しかしこのイタリアンリネンは、英国の麻に慣れた方には衝撃を与えるかもしれません。
目付が350g/mとほぼスペンスブライソンと変わらないにもかかわらず、
最初から驚くほど柔らかくフワッとした質感です。
なのでシワの入り方も始めのうちから抜群にカッコいいのです。
古代ローマではトーガという一枚布の上着を着ておりました。
着る際は襞の取り方に非常に気を使っていたらしく、
各部位の襞に名前がついていたそうです。
貴族の家には必ず、着つけの訓練を受けた専門の奴隷が抱えられていたそうなので、
きっとその頃からエレガントな襞やシワの入り方について
相当な研究がなされてきたのだと思います。
このリネンからは、古代から脈々と受け継がれてきたのであろう
彼らの「シワの美学」のようなものを感じます。
柔らかいのに丈夫で、シワが入っているのに上品。
どことなく陽気な雰囲気で、夏の日差しの中で最高に映える一着になります。
我々日本人も明治時代までは皆麻の服を着て生活をしておりましたし、
素材の特性は高温多湿な日本の気候に大変マッチしているにも関わらず、
最近はシワ=NGという思いが強すぎるあまり麻のジャケットを
着られる方は減っているようです。
しかし、発想を変えてみて下さい。
シワが入っていては違和感のある素材を着ているから、
シワが入っていると目立つのです。
麻のようなシワが入っていて当然の素材であれば、
手に抱えてシワが入ろうが、そもそも気になりません。
汗だくで着ている通気性の悪い化繊のジャケットなんかより、
快適な麻のスーツはきっと貴方をスマートかつエレガントに見せてくれるはずです。
まずは是非、店頭で生地を触り比べてみてください。
きっと仕立てるのが楽しみになりますよ。
皆様のご来店、心よりお待ちしております。