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FIVEONE TALK SESSION 20

世界が愛する英国老舗服地商CEOが語る「ブリティッシュ・スーツ」の魅力

スーツの聖地・サヴィル・ロウで修行した偉才、岸由利子が聞き出す、オーダースーツの魅力。

『ファイブワン・トークセッション』第20回のゲストは、LBDハリソンズグループ代表を務めるジェームス・ダンスフォード氏。

同グループが取り扱う「ハリソンズ・オブ・エジンバラ」は、後のエジンバラ市長サー・ジョージ・ハリソンによって、1863年に創設された名門マーチャント(服地卸商)。トレードマークの赤いバンチで展開される高品質かつ豊富な服地コレクションは、世界中の名門テーラーやオーダーサロンで取り扱われ、欧州の王侯貴族はもちろんのこと、世界中のVIPから愛され続けています。

今回は、ファイブワン・ブランディング室 室長兼ファイブワン大阪本店 店長の中吉俊貴氏を対談者に迎え、ジェームス氏がオーダースーツを仕立てる時のこだわりやハリソンズの生地紹介、イギリスの最新トレンドに至るまで、多岐にわたるテーマについてお話いただきました。

伝統&モダン&ソフトテーラリングが、お気に入り

岸由利子(以下、岸):6年前に始まったファイブワン・トークセッションの記念すべき第1回のゲストは、ジェームスさん、あなたでした。再びご登場くださり、誠にありがとうございます。早速ですが、ファイブワンのスーツを改めてご覧になって、どのような印象をお持ちですか?

ジェームス・ダンスフォード氏(以下、ジェームス):シャープでクリーン。非常に素晴らしいです。

岸:ハリソンズの極上のクオリティと、洗練されたエレガントなムード。熟練の職人によるハンドメイドにこだわり、上質なテーラリングを生み出し続けるファイブワンとの相性が非常に良いとお見受けしています。

ジェームス:その通りです。私はそれを“シナジー”と呼んでいます。

岸:今日お召しになられているスーツ、とっても優雅ですね。どちらのものなのですか?

ジェームス:ロンドンのクリス・カー*のビスポークスーツです。伝統を踏襲しつつ、他とは違う独特のスタイルが気に入っています。クリス・カーは、今、30~40代を中心に人気の高い新鋭テーラーですね。

岸:他に、お気に入りのテーラーはいますか?

ジェームス:ロンドンなら、ヘンリー・プールかクリス・カーですね。ヘンリー・プールはクラシック、一味ちがう、よりモダンなテイストが欲しい時は、クリス・カーを選びます。あとは、ソフトテーラリングを得意とするアンダーソン&シェパード。同じく、ソフトで着やすいスティーブン・ヒッチコックも好みですし、ギーブス&ホークスも素晴らしいですね。

*クリス・カー 俳優のダニエル・クレイグやジョニー・デップなど、錚々たる顔ぶれを顧客に持つ新進気鋭のビスポーク・テーラー。ロンドンのバーウィック通りに店舗を構えている。

クラシックとは、ブリティッシュ・スーツのためにある言葉

岸:ところで、ジェームスさんが、オーダースーツを誂える時のこだわりは何でしょうか?

ジェームス:服地卸商に携わるものとして、まず生地ですね。あとは、「何がよりクラシックで、よりモダンなのか」と、いつもテーラーに尋ねます。仮にもし、大統領に会うとしたら、クラシックな装いが必然ですし、そのスーツを着用する場によって、求めるスタイルはおのずと変わってくるからです。とはいえ、先ほども申し上げたように、個人的には、クリス・カーのスタイリングが好きですね。ダブルブレストジャケットなど、“いつもとは少し違う何か”が欲しい時には、彼のところで誂えます。

岸:イギリスには、さまざまなテーラーやブランドがあり、それぞれにユニークな哲学やスタイルを持っていますが、ジェームスさんの目から見たブリティッシュ・スーツの一番の特徴とは、何になるでしょうか?

ジェームス:ウエスト・エンドのヘンリー・プールやアンダーソン&シェパードに代表されるように、“クラシック”がふさわしい言葉だと思います。イギリスは、言わずと知れたスーツ発祥の地。ですので、それ以外のものは、私たちイギリス人にとっては、すべてコピーと言っても過言ではありません。こう申し上げると、イタリアの方たちから異論があるかもしれませんが、歴史が真実を物語っていると思います。

スーツとは、ステイタス・シンボル。スリーピース・スーツが、今のトレンド

岸:ところで、今日は折り入ってひとつお願いがあります。ファイブワン代表の森俊彦氏が、スーツを新調したいそうで、この機会に、ぜひジェームスさんにハリソンズの生地選びをお願いしたいと。

ジェームス:喜んでお引き受け致しましょう。(森氏、登場)森さん、どのような生地をお探しですか?

森俊彦氏(以下、森):これから誂える一着は、この春から夏にかけて着たいと思っています。しっかりした生地が好みなので、その辺りを加味していただければ…。

ジェームス:プレーン、ストライプ、チェックはどうですか?プレーンですと、今、イギリスではネイが、ポピュラーなんですよ。ちょっとヨーロッパ色が強いかもしれませんが。

森:クローゼットの中が、ネイビーで埋め尽くされているほど、大好きな色なのですが…。(笑)

ジェームス:では、違うものにしましょう。グレンチェックのウィンドペンはどうでしょう?これは、非常にエキサイティングな生地です。言うなれば、ニュー・イングランド。カモン、イングランド!(笑)森さんのような若い世代の方にぴったりの生地ですよ。

森:これなら、ビジネスの場やパーティーなどでも着れそうですね。これに決めます。ジェームスさん、ありがとうございます。

ジェームス:どういたしまして!

岸:ところで、イギリスのスーツトレンドについて教えてください。

ジェームス:一番ポピュラーなのは、間違いなくスリーピースだと思います。シングル、ダブルに関係なく、スリーピースですね。

岸:年齢にかかわらず、ですか?

森:30代から40代後半くらいの人が多いですね。ツーピースのシングルブレストスーツを好む人がいる一方、最近は、スリーピース・スーツを着た男性をより頻繁に見かけます。

岸:中吉店長、ジェームスさんにご質問があるそうですね。

中吉俊貴氏(以下、中吉):日本では、「スーツ=ビジネスウェア」のイメージが強くありますが、
イギリスの男性は、スーツをどのように捉えているのでしょうか?

ジェームス:私たちも、ビジネスの場でもちろんスーツを着ます。ただ、ディナーパーティーなど、ドレスアップする機会も多く、どちらかと言えば、スーツを文化の一部として見ています。サヴィル・ロウのスーツが、世界ナンバーワンであることは誰でも知っていますし、テーラーが丹念に誂えたビスポークスーツなのか、上質なのかどうかは、見ればすぐに分かりますよね? 何が言いたいかといいますと、イギリスにおいて、スーツはやはり依然として、ステイタス・シンボルであるということです。

中吉:なるほど、ありがとうございます。

岸:最後に、日本のハリソンズ・ファンにメッセージをお願いします。

ジェームス:日本に来るようになって、かれこれ17年になります。年月の早さに驚くと共に、これまで関わってくださったすべてのお客様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。今回、またファイブワンとまたご一緒できて光栄でした。

岸:本日は、貴重な時間をありがとうございました。

今回、ファイブワン代表・森俊彦氏がハリソンズの生地で誂えたスーツは、近日、公式ウェブサイトで公開の予定です。どうぞお楽しみにご覧ください。

インタビュー/文 岸由利子