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FIVEONE トークセッションナンバー03 ゲスト:ベラージオ代表 亀山貴弘様

デザイン事務所ベラージオ代表
亀山貴弘氏

スーツの聖地・サヴィル・ロウで修行した偉才、岸由利子が聞き出す、オーダースーツの魅力。

『ファイブワン・トークセッション』第3回のゲストは、デザイン事務所「ベラージオ」代表の亀山貴弘氏。対談者は、ファイブワン静岡店の店長で、セレクトショップ「ベラージオ」の代表でもある亀山純氏。“建築デザイン”と“セレクトショップ”という異分野で共同経営されているお二人は、実のご兄弟です。

建築設計の現場で修業を積んだ兄の貴弘氏は、イタリアをモチーフにした“モルタル造形”でビンテージ風な石壁や内装の装飾を得意とする建築デザイナー。ファイブワン大阪本店・銀座店、静岡店の内装をはじめ、この8月、ファイブワン枚方工場移転に伴う新工場の設計も手掛けられており、イタリアの街並みの趣を存分に取り入れた前代未聞のラグジュアリーな内装に仕上がる予定です。

一方、弟の純氏は、有名セレクトショップでのバイヤー・スタイリスト経験を経たのち、“静岡の代官山”と言われる気品漂うエリア・鷹匠区の一角に、自身が手掛ける初のセレクトショップをオープン。静岡では手に入りにくいメンズインポートをジャパンメイドとミックスした随一のセレクト商品を展開するかたわら、「男性にとって、スーツスタイルは最も重要なアイテム」とし、ベラーシオ内にファイブワン静岡店を併設。持ち前のコーディネート術を武器に、ビスポークスタイルでスーツを提案しています。

とにかく着心地が良く、上質。「ファイブワンの素晴らしさを静岡のお客様にも体感して欲しい」

質問 : 先ほどお二人が並んで出迎えてくださった時、素敵なコーディネート、その佇まいに思わず見惚れてしまいました。お洒落のこだわりについて教えていただけますか?
亀山貴弘氏(以下、亀山兄): 一番意識しているのは、全体のバランスです。細部にも注意を払いつつ、全体のバランス感覚が問われる建築デザインという仕事柄も関係しているかもしれませんが、トータル的にどう見えるかを考えながら、スーツを楽しんでいます。
質問 : 今日のスリーピース、とても良くお似合いです。こちらは、もちろんファイブワンですよね?
亀山兄 : ありがとうございます。はい、ファイブワンのスーツです。とりわけこのベストには一目惚れしました。遊びの要素もほど良く取り入れていきたいので、その都度、弟に相談しながら、遊び心のあるアイテムも選んでいます。
質問 : 純さんはいかがですか?
亀山純氏(以下、亀山弟) : プライベートでは、サーフィン、スノーボードなど、スポーツやアウトドアを趣味にしているのですが、カジュアルの時はとことんカジュアルに、スーツの時はビシッとキメる…というようにメリハリをつけるようにしています。いずれにしても、清潔感のある爽やかなイメージは、常に心がけていますね。
質問 : ちなみにベラーシオにいらっしゃる時は、いつもスーツを着用されているのですか?
亀山弟 : 純粋にスーツスタイルが好きですので、週の6~7割は着ています。ファイブワンのスーツは体に沿う立体的な構築で、とにかく着心地が良く、かつ上質です。静岡でもオーダースーツならではの素晴らしさをお客様に体感していただきたい。そんな想いで、ご紹介させていただいております。

卓越した本物の技術ありきのオーダースーツ。その在り方は建築デザインとよく似ている

質問 : お兄様がデザイン・設計されたベラーシオの内装は、イタリアのコモ湖を想起させてくれます。鮮やかな配色と洗練された設計は、とにかく「素晴らしい!」としか言いようがないです。“形を構築する”という意味で、スーツと建築は似ていると思いますが、お兄様の視点からご覧になられて、共通点はありますか?
亀山兄: お客様からお聞きしたご要望を元に、頭の中でイメージした形やディテール、全体像を具現化していく。これが建築デザインを担う私の役割ですが、具現化するためには“作ってくれる人ありき”なんですね。職人さんたちが、私の描いたイメージを表現してくれるんです。お客様のご要望にどれだけ近づけるかどうかも、私一人ではなく、彼らとの連携プレーがあってこそ実現できることです。

オーダースーツを作る工程はこれと非常に良く似ていて、「こんな感じの生地で、こんな着こなしがしたい」という私の要望があった場合、それをまず弟に伝えます。その後、彼を通して、ファイブワンの職人さんたちに伝達され、彼らの卓越した技術によって、一着のスーツが仕上がる。頭の中にあったイメージが衣服という形をとって立体化されていく…一連の流れをみていると、建築デザインと一緒だなと思うことがあります。

質問 : なるほど、興味深いご意見をありがとうございます。次に、純さんにご質問させてください。ファイブワン静岡店のオーダーサロンは、セレクトショップの一部にありながら、別世界のようなムードが満載です。フィッティングルームも特別に設置されていて、所々にこだわりを感じますが、特に意識された点があれば教えていただけますか?
亀山弟 : セレクトショップとファイブワンのオーダーサロンのスペースをきちんと区切るというメリハリを意識しました。サロンは、ファイブワンのオーダースーツの魅力をより良く伝えるためにも、カチッとエレガントな雰囲気を表現したかったので、兄とイメージを共有しつつ、話し合って創り上げていきました。
質問 : 先ほどから節々にメリハリという言葉が出てきますが、オン・オフをはっきりされる方ですか?
亀山弟 : はい、前半でもちらっとお話しましたが、普段の生活でも、締めるところと抜くところ、洋服なら、ビシッとキメて、“魅せるスーツ”と、とことんドレスダウンしたカジュアル…というように、メリハリを付けるのが、私のやり方といいますか、少しカッコ良く言ってしまうと“流儀”なんです。もうひとつ付け加えるとしたら、これこそが、私たち、ベラーシオが提案するスタイルでもあります。

洋服、住宅、趣味に至るまで…お客様のライフスタイルをトータルにコーディネートしていきたい

質問 : たおやかな佇まいの中に、揺るぎない洋服哲学が感じられます。そんな純さんを慕って、「全てお任せします!」というお客様も多くいらっしゃるのでは?
亀山弟: 嬉しいことに、そう言っていただけるお客様もいらっしゃいまして、その方たちのリクエストに応えられるよう、日々研鑽を積ませていただいております。
質問 : そのお一人はまぎれもなく、お隣にいらっしゃるお兄様ですよね?
亀山兄: そうですね(笑)。もちろん、私自身にもこだわりはありますが、オーダースーツに関して言うと、「そこはもうプロに任せよう!」という気持ちの方が強いです。弟から色々と提案を受ける中で、自分なりの嗜好も加味しますが、実のところ、ほぼ任せている状態だったりします。
質問 : 身内に頼れる方がいらして、ラッキーですね!ちなみに、お兄様の今日のネクタイはブルー。背後のディスプレイもブルーが基調、さらにオーダーサロンのフィッティングルームの壁もインパクト大の一面ブルーですが、お好きな色なのですか?
亀山兄: はい、好きな色です。お店のテーマカラーがブルーということもありまして、フィッティングルームの壁は、思い切った遊びの要素を取り入れてみました。
質問 : こちらはデザイン事務所とセレクトショップ、そしてファイブワン静岡店という共同経営のスタイルですが、どのような形に発展していくのでしょうか?今後の展望をお聞かせください。
亀山兄: 確かに、私は建築・デザイン、弟は洋服・アパレルの分野をそれぞれ専門としていますが、当初より、 お客様一人ひとりのライフスタイルをコーディネートしていきたいという考えが根本にありました。洋服、住宅、 さらにはお客様個々の趣味の分野に至るまで携わっていけたら理想的…そんな想いから、二人でやろうと決めて独立し、現在に至ります。自分たちが思い描いた未来を実現するためにも、まずは、建築デザイン、ファッションという、今できることからできることを、精一杯楽しみながらやっていきたいと思っています。
質問 : スーツは「男の勝負服」。「マイホームを建てるのは男の夢」と言うと、少し古風な言い方かもしれませんが、生活の中枢にある住宅。男性にとって不可欠なこれら二つを含めたライフスタイルをお二人にトータルにプロデュースしていただけたら、最高ですね。本日は貴重な時間をどうもありがとうございました。

インタビュー/文 岸由利子/文筆家

英国ロンドン・セントラルセントーマーチン美術大学FDM(ファッションデザイン・ウィズ・マーケティング科 ‹Bachelor of Arts›)を主席で卒業。在学中、スーツの聖地・サヴィル・ロウ1番地「ギーブス&ホークス」で日本人女性として、約2年半に渡る異例の修行を伝授。帰国後、『マルコマルカ』を創立。東京コレクションにて、最年少女性デザイナーとしてデビュー。現在、デザイナーとしては国内アーティストへの衣装デザイン提供を、画家としてはパリ・バルセロナなど海外を主な舞台とした作品発表を行う。これらと並行して、文筆家としては、芸術・ファッション分野を中心に、社会・医療・美容など幅広い分野で執筆中。