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FIVEONE オーダースーツ トークセッションナンバー02 ゲスト:シミズ 代表 清水久義様

Shimizu
代表 清水久義氏

第2回『ファイブワン・トークセッション』のゲストは、Shimizu代表の清水久義氏。富山県射水市に本店を構える同店は、本物志向のメンズウェアを中心に、エッジの効いた多彩なウェアを取り揃える名店。初代が気付いた伝統を守りつつ、研ぎ澄まされた自身の感覚を頼りに、気品溢れる革新的なエッセンスを巧みに取り込み、今や名実ともに、富山のメンズファッションシーンに不可欠な存在である清水氏。対談者にFIVEONE富山店 店長の藤田伸朗氏を迎えて、「ファイブワンとの出会いは運命」と真摯に語る同氏の“スーツ愛”と2つの運命的なエピソードを中心に、余すことなく語っていただきました。

ファイブワンのスーツの体に吸い付くような着心地。とたんに惚れ込みました」
質問 : 2013年に直接お話を持ち込まれて、富山にファイブワンを2店舗オープンされたそうですが、そもそものきっかけは何だったのですか?
清水久義氏(以下、清水): 正直なところ、数年前まで、私はファイブワンという名前を知らなかったのですが、ある時、洋服好きの知人がこう言いました。「俺が15年着ているスーツがあるんだ。とにかく見て欲しい」と。その後、彼のところに遊びに行った時に、ファイブワンのスーツに初めて袖を通す機会がありました。当然ながら、オーダースーツですので、彼の体型に合わせたサイズ感でしたが、体に吸い付くような着心地で驚きました。惚れぼれしましたね。それ以降、頭の中にはずっとファイブワンのことがずっと残っていたのですが、何か直接的なアプローチをするわけでもなく、時は過ぎ…それからしばらくして、大阪のあるメーカーさんを訪ねた時のことでした。その道中に、なんとファイブワンの工場があったんです。
質問 : 偶然出くわしたということですか?
清水 : はい、目の前に突如ファイブワンが出てきたんです。初めてスーツを着た時の感動がよみがえると共に、目の前に現れたということは、もう運命だからやるしかないと思い、その場でドアを叩き、工場を見学させていただきました。その後、改めて、取引したい旨を伝え、承諾を受けて現在に至ります。
質問 : 清水代表から見た、他の追随を許さないファイブワンのオーダースーツの魅力とは、何でしょうか?
清水 : 先ほどもお伝えしたように、とにかく抜きん出た着心地の良さだと思います。“感動の着心地”と言われるくらい体に吸い付く。それでいて非常に動きやすいんですね。お客様の中にトロンボーンを演奏される方がいらっしゃいます。本来、スーツですと、腕を頻繁に押し引きするような激しめの運動は、どこかが引っ張られたりして、やりづらいものですが、「ファイブワンのスーツで弾いてみたら、動きがスムーズで心地良かった」と絶賛されていました。それくらい動きが良いんです。

質問 : その他にも何かございますか?
清水 : スタイルが良く見えるのも魅力のひとつだと思います。お客様と一緒に来店される奥様や女性の方が、「あなたちょっと痩せたんじゃない?」「見違えたわ。カッコいいじゃない」とおっしゃって、驚かれることがよくあるのですが、それくらい見た目にも映えるんです。ご本人にとって、着やすさは実感しやすいと思うのですが、見た目については、身近な女性からの意見や感想によって、ご自身の変化に気づかれることが多いですね。

“男の遊び心”の根底に流れるテーラー魂ありきの珠玉の一着

質問 : 次に、藤田店長にお伺いさせてください。掛尾店の店長として、ファイブワンのオーダースーツの魅力をどのようにお客様に伝授されているのですか?
藤田伸朗氏(以下、藤田): 富山という一地方であるがゆえ、オーダースーツというとやはり敷居が高く感じてしまうことが、現状あるんですね。その中で、いかにお客様に楽しんでもらえる空間で、分かりやすく、楽しく、ビスポーク(=話をしながら、服を仕立てていく)していくかということを心がけています。お客様が飽きないように、常に新鮮な雰囲気の中で時間を共有し、ご提案させていただきながら、一つひとつのスーツを作り上げていくことをモットーにしています。
質問 : グレンチェックのベストと異素材のジャケットにデニムを合わせた今日のコーディネート、独特でとても素敵です。藤田店長は、イタリアとイギリス、どちらのテイストがお好きですか?
藤田: どちらかと言えば、両方好きです。イギリスには継承されるべき伝統があって、イタリアには魅せる艶やかさ、それを表現する遊び心もあり、それぞれに良さがあると思います。それをうまい具合にバランスを取って、自分のオリジナリティを加えて、コーディネートするとこんな感じになっちゃうんですね(笑)。ちなみに今日は、 6:4でイタリア寄りです。
イタリアが好き、イギリスが好きなど、お客様からもさまざまなご要望があります。サロンではそういった好みのテイストも含めて、お客様のライフスタイルやシーンに合わせた一着をお話しながらひとつの形に作り上げていきますが、その根底にあるのは、やはり毅然としたファイブワンのモノ作りの技術です。その基盤があってこその構築ですし、成り得るものだと思っています。
質問 : これから夏に向けて、結婚式やイベント、パーティーが増える時期です。おすすめのコーディネートがあれば、教えてください。
藤田 : TPOももちろんありますし、自分が主役なのか、あるいは来賓なのかでも着こなしは違ってくるでしょうが、機会があればタキシードにぜひ挑戦していただきたいなと思っています。タキシードは日本ではまだ浸透していませんが、シックなのに、カッコいい。そんな着こなしが出来たら、粋ですよね。華やかな席だけでなく、プライベートでもタキシードを着て楽しめるような場を自分たちで作っていけたら理想的です。これから、色々と思案していることを形にできれば本望です。

一流、本物。“絵画のようなスーツ”を五感で感じる

質問 : 清水社長にお伺いしたいのですが、“一流”とは何でしょうか?
清水: 時代が変わっても、ずっと価値は高いまま、変わらないもの。それが一流であり、本物だと思います。流行というものは、一過性であるからこそ、“ブーム”と呼ばれ、時と共にいずれは廃れていくものですが、一流のものは本物であるがゆえに、一貫して不変性を保守しています。ファイブワンのスーツについて、“絵画のようなスーツ”とよく形容されますが、何百年の時を経て今なお人々の心を打つ絵画はまさしく、本物であり一流といえるのではないかと思います。細かい説明うんぬんは抜きにして、その凄さ、素晴らしさを“感覚”で感じる。絵と同じように、洋服でもそれがあると私は思っています。ファイブワンのスーツの着心地は、まさにそれにあたりますね。繰り返しますが、他ならぬ感動そのものです。
質問 : ところで、前半の「ファイブワンとの出会いは運命」という言葉が印象的だったんですけれども、聞くところによると、もうひとつ運命的なエピソードがあるそうですね。
清水: はい、実はもうひとつの運命はこちらの藤田店長なんです。
質問 : 何が起きたのですか?
藤田 : 東京に在住していた頃、前回トークセッションに登場された(株)ヨネヤマの武井泰士社長を通じて、ファイブワン代表の森との出会いがありました。東京にいた期間は短かったので、中々同じ時間は共有できなかったのですが、東京を離れて、地元の富山に帰ることが決まった時、挨拶しに行きました。「富山のどこ出身だったっけ?」と聞かれて、地元の住所を伝えると、「その辺りにシミズってお店があるんだけど、知ってる?」。実家から目と鼻の先ですし、小さい頃からそのエリアで育ってきたので、もちろん知っていました。聞くと、そのお店でファイブワンの取り扱いを始めたのだと。それからすぐに森を通じて、清水代表に出会い、約2ヶ月後に現在、店長を務めさせていただいている掛尾店がオープンしました。

質問 : あらかじめシナリオが決まっていたように、全てがスムーズですね。
藤田 : しかも、清水代表は同じ高校の先輩だったということが、後に分かったんです。驚きました。
清水: 微力ながら、ファイブワンのスーツの魅力を富山でもどんどん広めていきたいと思っています。まだオープンしてから2年足らずですが、驚くほどにお客様の感じ方がストレートなんですね。私が初めて袖を通した時に体感した感動と同じように、お客様が実際に着られて、「今までのスーツとは違う」と感じたその良さが、周囲に伝播されているのが現状で、今後の広がりが楽しみです。
質問 : 清水代表、藤田店長、本日は貴重な時間を心よりありがとうございました。

インタビュー/文 岸由利子/文筆家

英国ロンドン・セントラルセントーマーチン美術大学FDM(ファッションデザイン・ウィズ・マーケティング科 ‹Bachelor of Arts›)を主席で卒業。在学中、スーツの聖地・サヴィル・ロウ1番地「ギーブス&ホークス」で日本人女性として、約2年半に渡る異例の修行を伝授。帰国後、『マルコマルカ』を創立。東京コレクションにて、最年少女性デザイナーとしてデビュー。現在、デザイナーとしては国内アーティストへの衣装デザイン提供を、画家としてはパリ・バルセロナなど海外を主な舞台とした作品発表を行う。これらと並行して、文筆家としては、芸術・ファッション分野を中心に、社会・医療・美容など幅広い分野で執筆中。